古来からイスタンブールでは、ヨーロッパ側とアジア側から人が押し寄せ、それぞれの生存と文化の永続を求めてギシギシとひしめき合うことが続けられてきた。

その「ギシギシに詰まってる感」を楽しみながらイスタンブールを歩いてみようと思った。

イスタンブール観光のメインイベントである巨大寺院アヤソフィアは1500年前の建築で、当初はキリスト教の教会、のちにイスラム教のモスクになった。

オスマン帝国による破壊をまぬがれたのはその壮麗さゆえというストーリーはガイドブックに任せておき、別の角度からも楽しんでみよう。

アヤソフィアの正式な玄関がどこにあるのか知らないが、観光客は下の写真のところから入っていく。
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4枚の巨大な壁は飾りではなく、その上に高々とそびえるドームを全力で支えるべくほどこされた補強にちがいない。

後世は、こうした補強材にも修飾が入るようになり、最終的には華麗なゴシック様式の支柱に行き着いたようだが、ここアヤソフィアにおいては質実剛健な働き者として尊敬のまなざしを捧げたい。

高さ55メートルの巨大ドームの重量が何万トンになるのか知らないが、このようなマンモスビルディングが幾度もの大地震にもめげず1500年も立ち続け、歪みもせずにきたことは、奇跡そのもの。

この建物には知恵と根性がギシギシに詰まっているのである。


本堂外周の廊下から中に入ろうとして驚いた。敷居のすり減り方がすごい。
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石も1500年も踏み続ければこうなるのか。いったい何人がここを通っていったのか。

無数の人影の重なり感を楽しみながら、しばし眺めていた。

すり減ったのは敷居だけではない。
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回廊の敷石が波打っているのは、石の柔らかい部分から先にすり減ってきたからだろう。

「1500年ってすごいねえ」

と感心しながら巨大な扉をぐぐる。
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そのへんの城門なんぞ尻尾を巻いて逃げだすほどの貫禄。この建物が作られたころの日本は古墳時代で、「酋長死んだから埴輪つくって一緒に埋めよう」とか言っていたわけで、比べてもしょうがないけどアヤソフィアはすごい。

その壮麗さゆえに破壊をまぬがれた様子も見ておこう。
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幾何学模様の下に透けて見える十字のほか、漆喰塗りの下からよみがえったイエス・キリストのモザイク画など、見どころは多い。

個人的には色ちがいの石の組み合わせや、なにげに凝った彫刻が面白かった。
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これらのどこまでがオリジナルのアヤソフィアなのか、どれがモスクになってから追加されたものなのか判然としないが、それだからこそ匂い立ってくる「ギシギシに詰まっている感」が楽しい。

激しく残念だったのは、いつ果てるとも知れない修復作業の足場が大きく立ちふさがっていること。
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修復が終わればここにとんでもなく華麗な壁画が出現することになっているらしく、そのアカツキには是非とも拝ませていただきたい。

私が自分の足でイスタンブールを再訪できるうちに修復作業が終わるよう、真剣なる祈りをアヤソフィアにささげてきた。

なお現在のアヤソフィアはモスクではなく博物館として運営されているので、現時点では72リラ(1300円)の入場料がかかる。トルコはインフレが激しく、料金があっという間に値上がりするので、1年後には100リラとかになっているかもしれんけど。


ところでイスタンブールといえばネコ。
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この写真は iPhone 11 の「ポートレート機能」をつかって撮影。対象以外をきれいにボカしてくれるので、ちょっとプロっぽくなる。


「ギシギシに詰まっている感」を求めてイスタンブールの新市街を歩く。

目抜き通りとして知られるイスティクラル通りを下ると、途中から狭い路地のようになる(写真の左奥)。
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そこで私は衝撃的な発見をした。

楽器屋が多いのだ。
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バイオリン、ギター、インドの伝統楽器シタールを置く店。

その隣にはエレキギターなど電子楽器や吹奏楽器をあつかう店。
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なかにはYAMAHA の看板をかかげ大きなピアノを並べた店もあり、この通りへ来れば東西の楽器がひととおり手に入る勢いなのである。

この界隈に楽器屋はいったい何軒あるのか。17~8軒までは数えたが、イスティクラル通りから更にせまい路地に入ったところにも散見されるため、とても数え切れるものではないと思ってあきらめた。
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   トルコの伝統楽器サズは一台買いそうになった

このように楽器屋の多い街がイスタンブールのほか世界のどこにあるだろう。

トルコ人はそんなに音楽好きなのか。そういえばイスティクラル通りでは路上パフォーマンスが盛んで、実にさまざまな演奏や歌をやっている。
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ネコだけじゃなく音楽を愛する民はけっこう人がいいんじゃないか...

という科学的根拠なきトルコ人びいきが私のなかで育ったのである。

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      ここにもニャンコ

しばらく行くと、幽玄なたたずまいの塔が見えてきた。ガラタ塔は、夜間にはこんなふうにライトアップされるんだね。
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ちょっとエグい色に映ってしまったが、実際にはもっと淡泊で悪くない。

塔を見上げる絶好のポジションにカフェがあって満席。通りは芋を洗うような混雑ぶり。

「ギシギシに詰まってる感」を各所で味わえるイスタンブールだ。


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