ダッカ日本人会の定期総会なるものへ行き、ちょっと悲しい話を聞いてきた。

日本人会とはいうまでもなく当地に住む日本人が親睦や助け合いをする交流団体で、会員の多くは企業や団体などしかるべき組織に所属する紳士淑女であり、私のようになぜバングラデシュにいるのかよくわからんアヤシイ人物が仲間に入れてもらうにはちと気後れするところがあるが、無事に会員にしていただいた。

定期総会は、数千円の年会費の決算や役員人事の承認をおこなうもので、ダッカでも有数のホテルの宴会場で行われる。

さすがは先進国の親睦団体、立派なもんやなあ...

と、アメリカ時代にはこうした機会のなかった私は、お上りさん気分で会場に入った。


私のすぐ前に座っていたのが駐バングラデシュ日本国特命全権大使であることを知ったのは、総会のオープニングを飾るスピーチにその方が立たれたからである。

大使って海外支店長みたいな?ぐらいの認識の方が多いかもしれないが、特命全権大使ってのはいわば国家元首の分身として他国に駐在しているとっても格式高い存在なのであるぞええい控えおろう~

ってなもんで、うっかり大使さんのすぐ背後に座ってしまった私は「ネクタイもしてないこのおっさん、よくもまあそんな場所に」という背後からの厳しい視線を勝手に感じて首をすくめたのである。

で、大使のスピーチのことだ。

それはバングラデシュが世界のなかでもいかに成長株であるかを強調する内容だった。

それが証拠にこれまでにはバングラに手を伸ばしてこなかった日本企業、たとえば金融業などが入ってこようとしているという例を挙げ、まあ日本人会総会の景気づけリップサービスという側面はあっただろうが、全体として「右肩上がりのバングラデシュとともに成長していこう!」という明るいトーンだった。


だが、大使ご自身をはじめ集まった人たちは、そういう前向きな見通しをなかば歯を食いしばりながら語っているようにも見えた。

人びとの胸には2016年のテロ事件の記憶が重くのしかかっている。

そのことは、今回の総会が大使のスピーチより何よりまずテロの犠牲者を悼む黙祷から始まったことからも強く感じることができた。

「次は自分たちかもしれないが、今できることをがんばろう」

当地に派遣された人びとは、そんな気持ちで日本とバングラデシュの未来のために汗を流しているのではないか(蒸し暑いのでリアルに汗はかく)。


バングラデシュの側にも失ったものがあることを、今回知ることとなった。

在留邦人の子供が通う日本人学校では従来、遠足や修学旅行のようなかたちでバングラデシュ各地に出かけ、人びとの暮らしぶりや工場などを見学する機会にしていたが、2016年のテロ以来それがぱたりと止んでしまった。

集団行動がターゲットになりやすいとの判断により、校外学習のすべてが取り止められたのだという。

なんともったいないことか。

日本の子供たちがバングラデシュを身近に感じ、相互理解を育てる機会が奪われている。双方にとっての長期的な損失だ。

この話を日本人学校の校長さんから聞いたとき、テロの破壊力がこのようにして長期的に作用することを実感した。

ぶっ壊すのは一瞬。それを直すには気の遠くなるような時間がかかる。

ほんとアホな連中だ、テロリスト。


ところで校外学習の機会を奪われた子供たちだが、それではあんまり気の毒だというので、海外へ修学旅行に出かけることになった。

記憶があいまいだが、確か小学5年から中学生までが対象で、去年はシンガポール、今年はバンコクみたいな感じで出かけているという。

さっすが先進国の子女ぉ!

と感心したが、ある保護者の方にうかがったら、費用が20~30万円かかるそうな。さまざまな安全策を講じながらの旅行だからにちがいないが、バカにならない出費だ。

たとえば小5から中1まで在籍する子の場合、修学旅行は3回。きょうだいで参加という家庭もあるだろう。

そこまでは負担できない!といって欠席する手はあるが、子供もツライんじゃないか。

という新しい悩みもかかえこみつつ、がんばっている在留邦人。

知り合いにそういう方がいたら、温かい励ましの言葉を贈っていただきたい。


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