バングラデシュに到着したその晩、水の汚さに驚かされた。

途上国では水道水の質が低くて飲用に適さないことが珍しくなく、バングラデシュもそうであることは知っていた。

ただ、ひと目見ただけで水質の悪さがわかるほどスゴイとまでは想像していなかった。


ホテルに着き、風呂の湯をはり始めて数分後、私が見たものは黄色く染まったバスタブだった。

水が濁っているわけではないが、レモン色の絵の具を溶かしたように、はっきりと黄色くなっている。

浄水場ではもっときれいな水を作っているのだろうが、地中の水道管にできた亀裂から土などが混入しているのか...

おまけにこの水は臭う。モワっとした名状しがたい臭気に思わず息を止めながら、ほかに体を洗う方法がないことを呪う。

だが妻は「ね、きたないでしょ?」と涼しい顔。国際転勤族の父親に帯同して途上国を渡り歩いた経験から、汚れた水道水には慣れているのだ。

私自身、かつてアフリカを取材で歩いたときなど、水が臭うことには気づいたが、シャワー専門だったので見た目の異常には気づかなかった。

それだけにバングラデシュの水道水との出会いは衝撃的だった。


そういう水質であるから、現地の人たちも水道水を飲み食いに使うことはマレで、ボトル水を贖(あがな)える人はそうするようだ。

何十リットル入りの大きな水ボトルを積んだトラックが配達に駆け回るのをよく見かける。

だが、あんな重たいものは家の中まで運び込んでもらわないと困るし、そのためには配達時に在宅している必要があり、めんどくさいだろう。

たいへん有難いことに我が家には巨大な浄水装置があり、24時間稼働している。

water purifier

水道水をフィルター経由で上部の箱に引き込み、煮沸し、別のフィルター経由で円筒形のタンクに落とす。貯水量が一定レベルを切るごとに、浄水器が自動的に動きだし、満タンにしてくれる。

飲み食いはもちろん野菜洗いにも重宝しており、使う水量はかなりのものになるが、今まで不足したことはない。

家庭用としては最高級の浄水能力があるようで、ずいぶん値段も張るのに違いないこの装置は、米国政府の負担で置かれている。

ほんと、助かってます。


というのはまあそれだけのことで、ほんとにおっかない水の話がある。

うっかり書いてしまっていいものか迷う部分もあるが、WHOなども取り上げている問題だからヒミツというわけではない。

バングラデシュにはむかしから「バカの村」と呼ばれる地域がいくつか存在した(このような悲惨な呼称を、ここではありのままに記す)。知能に問題のある人が多く住んでいたからだ。

近年になって調査したところ、知的障害の原因は井戸水に含まれる砒素であることが判明。

砒素は自然界に広く存在しており、私たちは誰しも飲料水や農畜水産物をとおしてある程度は摂取しているが、度を越せば病気になり、バングラデシュではそのことがある程度広汎に起きていたわけだ。

知能だけでなく、内臓を壊して早死にする人も多かったにちがいなく、まことに気の毒としかいいようがない。


で、2019年のダッカはどうか。

在留邦人のみなさんに無用な心労をかける意図はさらさらないが、私たちが口にする水のその意味での安全性について私は知らない。

いくらなんでもそこの対策はされているだろう、万が一いまひとつであったとしても、浄水器がガンバってくれているから...

と思って暮らすしかない。

日本の水道水の素晴らしさ、水のありがたさについてしみじみと思いをいたすダッカの夕暮れ。

そろそろ野菜洗ってサラダの準備するか。


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