これが文化のちがいというものなんだろう...

そう考えることで気に留めないようにはしているが、決して愉快なものではない。

雇っているベアラー(お手伝い)さんとの微妙な金銭トラブルがあった。

ベアラーの雇用については多くの在バングラデシュ邦人が書いておられるから詳細は省くが、たとえばダッカは大気汚染がひどく、どれほど窓を閉め切ったとしても一日で床に黒いススがつくから、絶え間ないモップ掛けが必要で、しかも駐在用の住宅はだだっ広いところが多くて自力では掃除しきれず、人を雇うことになる。

幼い子をもつ親であれば家事の負担はずっと重くなり野菜ひとつもサクッと口に入れられない、手伝ってくれる人なしに暮らしは成り立たないといっていいだろう。


我が家ではNさんというベアラーを雇い、週2.5日(フルタイム2日+半日)で掃除とアイロン掛けをしてもらっている。

Nさんは別の家(妻の同僚)にも2.5回通っており、合わせて週5日。給料はそれぞれの家から1万500タカずつを受け取っている。

月収2万1000タカ(2万7000円あまり)で裕福な暮らしはできないが、四年制大学卒でも初任給2~3万タカというバングラデシュでは十分な収入といっていいだろう。

なお我が家では、勤務時間内であってもNさんの仕事が終わった様子であれば帰ってもらっており、実際のところ掃除とアイロンだけならたいしてかからない。

うちの「裏」勤務の家は独身男性(妻の同僚)で昼間は不在のため、勤務時間は決められているものの実質的には自由。あちらでの仕事には洗濯や食事の作り置きが含まれており、うちよりは大変だが、全体としては楽な勤務だと思う。

bearer

しばらく以前の話になるが、Nさんに最初の給料を支払うとき、ちょっとしたトラブルになった。

勤務の開始が給料日の3週間前だったため、実働への支払いとして3週間ぶんを渡そうとした(実際には旅行による不在期間があり、実働2週間)。
ところがNさんは実働計算に不満を示し、1ヶ月ぶんをフルに払ってほしいと要求してきた。

実はこの初回の支払いを「実働」とするか「フル」とするかについての取り決めをしていなかったので、どちらが正解と契約上は決することはできなかった。

私からはアメリカでも日本でもこういう場合は実働が常識と説明したが、Nさんは譲らず、バングラデシュではフルが常識であり過去のすべての雇い主がフルで払ってくれたと主張する。


この件、即座には結論を出さず、妻の職場で確認してもらった。

何人かの現地スタッフに尋ねたところ、バングラデシュでもこうした場合は実働払いが常識であり、「フルでよこせなんてとんでもない言い分」とのこと。

Nさんのもうひとりの雇い主である同僚も、きっちり実働ぶんしか払ってこなかったと証言。以前の雇い主(妻と入れ替わりで転勤していった)も実働払いだったことが確認でき、Nさんの主張が根拠レスであることがわかった。


以上の結果をNさんに伝えたところ、彼女は別なことを言い出した。

実働払いの件は了解したが、そもそも月給は1万500タカではなく、1万1000タカだったとの主張。

この件についても我が家としては少し弱味があり、契約書を交わしていなかったため、この葵の紋どころが目に入らぬか~と押し返すことができなったが、彼女の目の前で書いたメモが残っているため、それを見せながら

「あのとき1万500タカで合意したよね?ボクもはっきり記憶してるよ?」

「というか、あなたのいうように1万1000タカだったのなら、なんで最初に3週間の実働払いの計算式について説明したとき『それは違う』と言わなかったの?」

と詰めたら、あっさりと引き下がった。


どうやらバングラデシュ人の金銭感覚には、あることないこと言ってみて、取れたらラッキーという気分があるらしい。

ひるがえって日本では、どれだけいい仕事をしても「カネに汚い」という印象を持たれたら人としての信用ガタ落ちみたいなところがあり、彼我の価値観の違いはかなり大きいように思われる。

じっさい当地でベアラーを雇用すると、ちょっと慣れてくるなり「もっとカネをくれ」としつこく言うようになって鬱陶しいという悩みが珍しくないらしい。

うちはそこまでのことはなく、むしろNさんの働きぶりは丁寧で、汚れや散らかりが大嫌いな性分なのだろう、わりと神経質な私の目から見ても満足のいく仕事をしてくれるから、文句はない。

だがそれだけに、「ああこの人でもそういうことを言うのか...」というガッカリ感のようなものが拭いきれない。


お金に倫理観をからめず、むしろドライに攻めるのがバングラ流?

という文化ギャップにおたおたする初心者。

一方で途上国慣れしている妻は「こんなもんよ~」と涼しい顔。

ただしお金の支払いは気をつけろという。

大した額じゃないからまあいいか~といって、現地の人にとっての大金をやすやすと渡してしまうと、次に雇われたときに苦労することがあるから「安易な妥協は慎むべき」だというのだ。

場数を踏んできた人の言葉には説得力があります。


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